品川駅近くのテナントビルに在った保育園の移転新築計画である。周辺地域には大学や、旧い公共建築、寺院、教会等々、歴史が感じられる建物が多くある。こうした周辺環境に馴染みやすい濃いレンガ色や深い黒灰色等の色彩で落着いたファサードを構成。丈夫なレンガの家がシンボルツリーの大樹を脇に、すっくと立ちあがっている様をイメージした。
約130坪の敷地に、定員50名の必要床面積を鉄骨造4階建の空間に積み上げ、中庭を囲むように1階と3階に保育室を配し、中間階の2階には共用の遊戯室とランチルームを配置。中庭を通して園児たちの様子が相互に見渡せ、保育士同士や園児への気配り、目配りにも有効となった。1階中庭と南側デッキ庭は乳児さんたちの静かな園庭。3階には2、3歳児の屋上テラス。4階は3~5歳児の屋上園庭、というように小規模ながら、保育空間の間にスポット的に屋外園庭を差し込み、園児たちの活動空間にゆとりが感じられるように園の保育士さん達と共に協議しながら計画を進めた。
近隣にある保存樹木のクスノキを模したアルキャストの大樹と共に「子どもたちの家」として、永く地域の方々に親しまれ、愛されるような保育園に育っていくことを期待している。