住吉大社の南東側に位置する築83年の家屋の全面改修。
材木問屋だった施主の先々代がこの地に住まいを構えられたのが昭和13年末。その後の戦火を無事に潜り抜けた。近隣には蔵のある旧家がまだ数軒残存する。が、近年、こうした旧いお屋敷が取り壊され、周辺はミニ開発の3階建て家屋や小規模アパート等が建ち始め、昔ながらの住吉の町並みの風情は徐々に失われつつある。
最近、どのまちも其々の地域色が失われていくのを半ばやるせない想いで見つめてきた。
そんな想いからも昔の記憶を大切に受け継ぎ、施主の現代の住まい方に合わせた快適で老後も安心して住み続けることが出来る家への再生を目指した。
断熱性、耐震性強化は勿論のこと、間取りに合わせ壁配置を見直し、愛着のある雰囲気や記憶を残しながら、魅力ある住みやすい空間に生まれ変わった。